3月1日(土)

飼い殺し

 

 今日は大道具。朝8:45には小屋に入り、舞台事が済むまで一般世間とは隔絶された空間にいる。内容は日本舞踊。場所は高知県民文化ホールのグリーンホール。小屋というのはまぁ一種の業界用語だね。

 今回の大道具の面子は、僕をこの世界に引きずり込んだ張本人の曽我氏、それとその時の僕の先輩であるりゅうし君。僕の内容はたいしたことないけどこの3人のコンビネーションは最強だと思う。僕がボケをやると曾我氏があきれ返りそれをりゅうし君が大笑いする。これは失敗の場合だけど、当然うまくいく場面の方が多いわけで・・・。言い訳っぽいな。

 今回の失敗は・・・。垣根の後ろに書割の梅の花。最初は客席から見た正面に飾る予定だったのだが、飾る段になって垣根が直角方向に変わった。僕は垣根と梅の位置関係だけをそのままにして梅の書割を置いた。

「お前、何を考えてるんだ?客席から飾りものの裏が見えるだろうが・・・」

曾我氏があきれる。りゅうし君がその場にいなかったので自分で大笑いした。

「にくめないなあ!!」

 昔は本番のあいだじゅうピリピリしていてハラハラドキドキだったのだが最近はほんとにそれがない。自分が出来ない部分は他の誰かが出来て、自分がフォローできる部分はこういう点で、誰は今こういうことで動いていて、自分が今やってることは彼らもわかっている、という感じで、あまり話をしなくてもことが進む。

 緞帳があいても後の段取りや舞台の安全確保のために屏風の後ろなどにそのまま隠れていることがある。これを「飼い殺し」という。今回は、屏風の後ろにタッパのある七夕の竹を飾っている時に、僕がそれをやった。もう一枚の屏風の後ろには踊り手さんがいて舞台に出ていくタイミングを計っている。出て行く前に真剣に手を合わせてお祈りをしていた。どんなに慣れてもあの気持ちも忘れちゃいけないな。

 今日の舞台の感想はそんなことでした。。。