8月2日(土)

大道具 高松にて

 7月31日からの3日間、高松は香川県民ホールでのバレエの大道具。演目はシンデレラ。4月27日の日記に書いた松山のバレエ専門の道具屋さんのお手伝い。今回は20代中盤のこの道で食っていこうとしている浜田君いう若者と二人。

 香川といえば、うどんだ。県外での舞台仕事といったところで朝から晩まで小屋にしばられ、あとは小屋と宿舎の行き来だけ。食事は弁当が出るし、土地の雰囲気を味わうなんて期待しないほうがいい。香川に行くんじゃなくて、香川のホールに行くというのが当たっている。でも、うどんは食べなくちゃなぁ。何回食べられるんだろう?

 そんな暢気な考えはホールにつくなりふっとんだ。いきなり搬入口に横付けの11トン車。大ホールと小ホールとかあって、どうもホールを間違えたかなと思ってたらそこがそうなんだもんなー。シンデレラの家のセットは松山の道具屋、アステムさんで用意、お城のシーンの舞台セットの方は大ががりな柱やら天井やらで、東京の方の道具屋さんに製作を依頼し、そちらから持って来たというわけだ。んなわけで大道具の人数も結構なもの。アステムさんで4人、高知からの2人、高松のその道の人4人。東京から来た道具屋さんは最初はセットを持って来て、組んだら別の仕事へ飛ぶはずだったのが、大掛かりなセットがホールの作りとのからみで飾るのに問題続出。結局仕込みの2日間足止めを食らったくらいだった。そんな大掛かりなセットがしかも飾るのに問題ばかりというので、今回ほど「チカラシゴト」を実感したことはなかったような気がする。生まれてからこのかた、一番の力仕事だった。うどんどころじゃないのだ。

 その他の新しい経験。

○オケピットにオーケストラが入ってのバレエ公演。やっぱり生はいい。テンポもバレエの動きと会話しながらだからリハーサルは入念なものだった。

○国際交流公演ということで西洋系のダンサーが複数。なぜか小柄な人が多く、その小柄な範囲でバランスがとれているというフシギーな感覚。

○僕にとっては全然有名じゃないけど、その道の人だと、会ったときに緊張感が走るらしい有名な舞台美術家やらなにやらがかかわっていた。休憩とかで我々がたむろしているところへそういう人達もやってきてタバコを吸ったりしてたけど、携帯の待ち受け画面にしたネコを自慢したりしてなんとも普通なんだよなー。プロになるほど普通。なんか、イイ。

 そんなこんなで、今回の3日は中身が詰まって長かった。最初の2日は、夜、仕事が終わるとさらにちょっとした飲み食いで、この道だけで食っている道具屋さんたちとも同席できた。彼らに感じたのも、経験や腕を誇示しない良識ある落ち着き・・・。昼間あんなに「ああでもない、こうでもない」をやりながら落ち着いたもの。ひとつの人のあり方としてイメージをもらっておこう。

 本番が終わりバラシも済んだ夜の10時。僕の車は半ドアだったのかなんなのかバッテリーがあがっていた。この大きなバレエ公演の舞台監督をつとめたアステムの近藤氏にそのケアまでやってもらったミヤギ君なのであった。この後彼らは岡山のホールへ向かい、今日の内に搬入をやるという。まさに旅から旅。
僕は高知へ帰ろう。

 そうそう、うどんだけど、行きと帰りに1回ずつ、サービスエリアで食べたっけ。サービスエリアって高速でつながってるぶん、どこで食べてもかわらないんだよネー(^_^;)