11月23日(日)

内子座

 先週に引き続き金曜からの3日間、愛媛は内子町なるところへ大道具で行っていた。愛媛県というところはあちこちの町々にそこそこのホールがあり、この季節にはどこやかしこで催し物が開催されている。そういう時期になると舞台関係のスタッフに大幅な人員不足が生じ他県にも応援を求めるということらしい。

 今回は仕込み本番に当たる土曜・日曜に備え、高知からの4人が前日の夕方から愛媛入りした。その日は愛媛城のふもとのビジネスホテルでの泊まりだったのだが、冬へと向かううらぶれた場末感、夕飯(酒?)を求めて歩いた道がなんか寒かったなあ。

 翌朝は、8時半に僕たちを呼んだ「ライトスタッフ」という会社に集合。先週NSPで一緒だった徳島からの応援スタッフも来ていた。いくつのグループだったんだろう。それぞれが別々の現場へと出かけて行き、我々も一路内子町へ。

 移動疲れと、前夜の軽い飲み疲れと、寒さと、なれない舞台での仕事へのちょっとした不安で、実はノリ悪かったんだ。今回の小屋は古くからの小屋で昔の回り舞台とか枡席とかあって風情もありそうなのだが、道具を出し入れする搬入口は開き戸の狭いもので、民家みたいなところという声も聞こえる。とにかく狭い舞台での道具はほんとに動きにくいからなー。今回の出し物は日舞、お琴、狂言、琵琶演奏と和物つながり。

 『内子座』・・・そう、その小屋は『内子座』という。内子座についた途端、それまでの気分は消えていった。古くて、木のぬくもりがあって、昔風の舞台と客席。なんとも素敵な古さ。風情というのはこういうのをいうんだろう。裏も表もすぐそばまで民家がひしめいていて、こんなところによくぞあるという立地なのだが、それでも凛としてそこにある。観光の名所でもあるらしく、仕込みやリハの間も観光客が次々と入ってくる。それは本番当日の客入れ寸前までそうだった。舞台人としてはそれはとても驚きのやりにくいことなのだが、そのことも田舎の古い小屋に流れるちょっと違ったのどかさに見えたりして・・・。

 今回はデジカメでかなり映像を残した。高知を出る時に一度落っことして電池を押さえる蓋が外れ、ガムテープでなんとかしのいだ僕のデジカメ。液晶パネルも少しずれてふちから白い光が漏れている。こうなったらとことん使わなくちゃ・・・。この内子座はその価値がある。その勢いでパシャパシャやってたらまた落としてしまった。さすがに今回は液晶がブルーになってエラー表示。なんともならない。映像もみんな死んだかもしれない。

 一度電池を抜いてもう一度ガムテープで止めたら復帰した。そして液晶パネルも元に戻っていた。ラッキー!!

 さあ、どうしようかなー。今回の写真はいい感じ。カラタチさんの時みたいに1ページつくろうか。

 夜は高知勢は危険と見なされたのか、内子の山の上の公共の宿に隔離され、40畳はあろうかという会議室での宿泊。暗い夜道を山の上へ上へと進むにつれ、「きっとこの先にはすごい繁華街があるんだ」などと笑いながらの到着・・・。すごい山奥での宿泊とあいなった(^_^;)

 田舎もいい・・・。