12月16日(火)

介護マン

 火曜日、今日のメインエベントはやはり今年最後の短大の授業だ。今日は介護保険の話。去年もおととしも生徒たちにはビデオをみてもらった。今年もそうしたいのだが・・・。

 僕が勤めていた病院には併設の老人保健施設があった。介護保険が始まる前、、そこの若い職員たちが1ケ月もの間、自分たちのプライベートな時間も休日もつぶして作り上げた介護保険の説明ビデオ。監督の小松は上映日前の3日間徹夜して編集をし、それでも間に合わずに当日の朝僕にSOSを出してきた。それからは分単位、秒単位の編集作業。上映予定の1時は1時半に遅らせ、とにかくそれを目標に映像をつなぎナレーションを加え・・・。

 12時48分ぐらいで小松が

「もう1時やー」

の発言。それを叱りつける僕、

「こんな秒単位でやってる時にそんなアバウトな時間の読み方をするんじゃない!!」

なにがなんでも間に合わすつもりだった。こいつらがこれ程までに頑張ったものをムダにはしない。俺が関わった以上絶対やる。それ以外選択肢はない!!間に合わすといったら間に合わす!!

 「介護マン」「ねたきり怪人」という登場人物からしてハチャメチャなビデオだということは分かると思う。でも、あの時のあの若者たちの『熱』というものを子供たちに伝えたい。こういう施設で本気でやってるとこんなビデオ作成まで実現してしまう力があるんだよ・・・。

 ところがそのビデオを貸して欲しいと思っている監督の小松がつかまらない。昨日から何度も電話してるのだが・・・。しょうがない。今日は大事なことだけ話して、アッと言う間に終わる授業でもプレゼントしようかな・・・。今年最後の授業だし。

 その小松が昼ごろになって電話して来た。今日は小松のお母さんのところのADSLの設定で夜会うことになっていたのでその確認の電話。ラッキー!!

 すぐに借りて下見をする。なんかテープが劣化してるのか音が大きくなったり小さくなったり映像のつなぎめもヘンな感じだ。ウーン・・・。

 まあとにかく少しでもみてもらおう。学校のビデオでもこんな感じなら早まわしで雰囲気だけ見てもらって、エンディングの若者たちの感想とスタッフロールが重なってるあたりを見てもらうだけでもいいや。

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 結局全部見ることができた。見せる前に映像の乱れや音の悪さをカバー出来るようにあらかじめその時の様子とかをしっかり説明しておいてから上映。

 結構、興味津々で見てくれてたなー。

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 夜、その小松と会った。

 あの時、年寄りの介護マン一号の役で顔中にシワを書かれ、仮面ライダーみたいな服を着せられてハチャメチャな演技を要求された女の子は「もうお嫁にいけない」と言っていた。結婚したそうな。

 小松が

「介護マンの話をしてやるから俺を呼んでくれ」

と言ったそうだけど、結婚式には呼ばれなかった・・・(^_^)

 寝たきり星人の岡本は仕事を変えて、今は豆腐屋さん。

 時は来て、時は行く・・・・。

 みんな、あの時のあの『熱』は忘れずにいような・・・。