5月15日(土)

サクラ

 桜は大好きで大嫌いな花。僕の庭である旭浄水場の桜はとてもいい。そして、大道具で扱う桜は良くない。それは僕に技術やセンスがないから。だから実のところは「大嫌い」なんて言える筋ではない。

 道具ごとであつかう飾りに「立ち木」というものがある。それを桜で説明すると、切り出しの桜の幹に本枝をつけて、その枝にはたくさんのつくりものの桜の花。どういうわけか、桜の立ち木があると、それは僕に振られる。まだ右も左も分からない頃に桜の立ち木を作るように言われ、何時間かけても下手なものしか作れなくて棟梁にしかられていた。

「そんなものは、芯になる枝を見つけてパッパッと仕上げて30分で仕上げなイカン」

ヒエー!!そんな無茶な。それ以来、桜の立ち木をやるたびに『30分』という基準が頭を巡っていい気がしない。

 それでも僕の作る桜は回を追うたびに良くなっていく。前回はこうだったから今回はこうやってみよう。大きな目で見れば全てバランスということになる。幹と枝葉のバランス。舞台の大きさと桜のバランス。立ち方(踊り手)さんが子供だと普通の桜も大木になるし、逆のこともある。それを、限られた空間、限られた時間で仕上げるということがこの作業を仕事っぽいものにする。絵心のある人はここらが段階を追わず最初っからいい仕事をしたりするんだよなー。

 今回の桜は今までで一番良かった。単体としてみる限り・・・。幹と枝葉のバランス。前にも後ろにも膨らみすぎず、見た目には立体感もあり。この道だけで生きている大阪の小道具さんもそのようなコメントをくれた。僕としても手ごたえあり。

 でも、実際に舞台に飾ると・・・もっと桜の花がたくさん欲しかったなー。立ち方さんは子供だった。幹と枝葉のバランスで作った立ち木は巨木に・・・(-_-;) やっぱり、作品を知り、全体を大きな目で見る力がいる。ウーン・・・。失格!

 セッカクの自信作にシッカクをジカクして、どこかで喜んでいるミヤギクンなのであった。(^.^)