5月28日(金)

金丸座

 6時45分。ギリギリで間に合った。5時に鳴りだした携帯のアラームの音をしっかり止めて、起きたのは6時だった。今回の仲間は龍史君と植村氏。植村氏は以前Uさんとしてこの日記で紹介したことがある。ホームページの作成のことで随分とヒントをくれた人。昔は都会の方でグラフィックデザイナーとしてやっていた人で、今もこの高知でそういう仕事をしている。田舎だからそういう仕事も少なくて今いち活躍の場が少ない感じ。久しぶりに会い、近況を聞くと、なんと彼は最近オープンしたばかりの高級志向、老人向け介護施設のロゴマークや施設内の案内表示などのデザインを済ませて、やっと落ち着いたとのこと。そして、その施設の仕掛け人は以前僕がカラタチの奥さんから「紹介したい人がいる」ということで会ったことのあるMさんだった。なんという縁のつながり方・・・というか高知は狭い(^_^;) 植村氏のその時の苦労話は「苦労話」であるにもかかわらず、楽しげな響きだった。友達が活躍してくれるとうれしいもんだ。

 琴平に向かう車中でだんだん今回の仕事の内容が見え出した。NHKのBS放送で「オーイ!日本!」というのがあるそうな。今回はその番組が香川を特集して収録される。生番組なんだそうな。今日が仕込み、明日29日がリハーサル、日曜日がリハ本番。中継地としてレオマワールドもあるので、本番当日のバラシはレオマに合流し、我々の現場のバラシは月曜日にやる。そして、我々の現場というのはこんぴら歌舞伎という名で有名な「金丸座」。道具方が忙しいのは最初の仕込みだけなので、植村氏は今日一日だけの参加となる。ちょっと気の毒だな・・。

 金丸座には8時半頃到着、そこで高松の道具屋さん波多さんと合流。

 日本最古の歌舞伎小屋、今も有名歌舞伎俳優が来る金丸座は古いたたずまいの風情のある芝居小屋だった。以前この日記に書いた内子座よりも少し大きめ。国の重要文化財に指定されていて、好きに釘を打ったりテープを貼ったりが出来ない。気をつけながら大事に大事に仕込みをする。これってやりにくいんだよなー。大事は分かるけど生きた文化を繰り広げる舞台はやはり生きた使い方が出来ないとなあ。生きた使い方っていうのは、やはり舞台というものをよりよく提供するためには目的至上主義。必要に応じて釘も使えて、テープもOK、目的、実用第一主義というのがいいに決まっている。

 とかなんとかいいながら、作業はラクだった。舞台を広くするために付けたし部分を加え、舞台全体にカーペットをしいて、あとは・・・あとは・・・オッワリー!!どうも明日あさってもやることはほとんどないみたい。そのかわり、音響、TVカメラ部隊はものものしい。普通、舞台ごとで我々が一番大事にするのはお客さん。お客さんにどう見えるか、どう聞こえるか・・・。テレビ収録の場合はそのお客さんはテレビの向こう側に何万、何十万、何百万といてそのお客さんの目や耳の代わりをするのがカメラやマイクなわけだから、そう思えば分かるような気がする。テレビ収録の現場に入るのは僕は初めて、これもいい経験だ。

 夜の宿はNHKの製作スタッフの人達と同宿で、一緒に食事をすることになった。われわれはどちらかというと人員充足のための応援部隊。あちらは何ヶ月も準備を重ねて今日に至るバリバリの当事者。アナウンサーがいたり、舞台監督がいたり、ナントカディレクターがいたり。それが一緒に食事をし、酒を飲み、気さくに相対してくれる。この余裕こそがこういう大物仕事の大事なこと。さすが、NHK。結果として我々のようなヒマ部隊も出現するのだろうが、それを許容できるのもプロジェクトの大事なところ。とにかく、ものごとがうまく行くことが最優先なのだ。イヤー、いろいろ勉強になる。

 でも、時間もてあましそう(^_^;) 結構いろいろパソコン仕事置いて来てるんだけどなー。モバイルっていうのを考えるべしか・・・なんて思いながらアッという間に眠りに落ちたミヤギクンなのであった。