7月31日(土)

舞台の白鳥

 龍史君の隣で寝ている僕の図はマボロシだった。あれで寝れたら大物だ(^.^) 近づいて来る台風の影響が見え出した高速を龍史君のヴァモスは突っ走る。車間距離を詰めて前の車に追いつき、キュイン、キュインと車線を変えて目指すは倉敷。とにかく瀬戸大橋を超えれるうちに超えて、あとはパーキングででも寝ればいいという算段だ。ちゃんとビールも用意した。瀬戸大橋は風速17メートルの表示。流れる流れる、飛ばすから。平気そうだったというか、大きな声を上げて面白そうにさえ見えたから「スゲエ」と思ったけど、後の話からすると彼も大変な思いだったみたい。3時半頃、大橋を渡った一番目のパーキングで車中泊とあいなった。

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 倉敷市民会館にはちょうど9時前に到着。スッキリと目が覚めないまま仕込みに入る。我々を呼んでくれたのは愛媛を本拠地に県外のいろいろなところでバレエ専門の大道具をやっている「アステム」さん。昨日のうちにリノリウムは敷いてあり、そこそこの仕込みもしてあるので助かった。リノがしんどいんだ、リノが。

 今回の演目は「子供のための可愛くて楽しい バレエ・コンサート」。3部構成で最後の大物は「白鳥の湖・第3幕」。

 リハーサル、ここの先生は辛口だ。どこの先生も「お叱り」(指導用というかダメ出し用のマイク)でどんどんダメを出していくが、今日の先生は機関銃のように言葉が出て来る。ダダダダダッ!!

「コラッ、みどり!どこ向いてるんだ、どこをー!」

「マ・ツ・モ・ト!!お前、色黒いんだから、笑えよ笑え!笑ったらどんなんでもキレイに見えるんだからー」

「ナオミ、お前メシ食ったのか、メシ、なんて踊りしてるんだー」

でも、うまく行った時はホントに嬉しそうに褒める。さっき責めたのなんかウソみたい。

一瞬の上機嫌、そして、またダメ出しは続く。

「コラーッ、みさと!お前どこにいるんだ、どこに。お前の場所はそこじゃないだろう。お前の目の前は何色だ。ナ・ニ・イ・ロ?!」

これは、客席からは見えないが舞台の前ハジに自分の立ち位置が分かるようにいくつかの小さなライト(ポインターって言ってたっけ・・?)があってそのライトの色のこと。

「私の目の前は真っ黒ですー。そして、頭の中はマッシロですー。」

みさとさんに代わって僕が応えてあげました、心の中で(^^ゞ

白鳥は水に浮かんで優美な姿を見せているが、水面下では必死に足で水をかいている・・・という言い方をするけど、舞台の白鳥はシゴカレテ美しい姿を聴衆に見せているのであった。ハクチョン!! あ、ごめんなさいー。