10月10日(日)

舞台後雑感

 雪もきれいに降って(と思うんだけどー)、舞台は無事に終わった。

 バレエの舞台で床に敷いているリノリウムを倉庫に運ぶ時、倉庫への移動に真殿さんと僕は美智子先生の車にのせてもらった。美智子先生はしきりと咳をする。きのうも今日もリハの間はずっと声を張り上げていたから、さすがにノドに来たんだろう。139人の生徒を率い、自らもステージで踊る「アーチスト立石美智子」は、「私、運転ヘタながヨー」とおっとりと話す普通の人に戻っていた。その道の人は舞台をはなれると普通の人になる。上でも下でもテンションが高い人はまだまだの人。

 真殿さんはまだ折れた足を若干引きずっていた。骨を折ってからの体験はすっかり彼の血となり肉となり笑い話にかわっていた。

 骨折がなおりかけてあちこちに移動し始めた頃のこと

「車にはのれんけんど、自転車やったらどこへでも行けたきねやー。自転車のもんでー」

 お仲間と「ウニをたらふく食べるツアー」に行ってたときのこと

「めんどいことはみんな人がしてくれて、ウニは食い放題やきー」

「そのかわり、あんまり飲まれん、言われませんでした?」と聞くと、

「いや、骨折は病気じゃないきいうてなんぼでも飲ませてくれたよー」

 たくましい・・・。

「人の体は治りだしたらドンドン直っていくきねやー。今回はまっこと勉強になった!」

 ここらが、真殿さんの真殿さんらしいところ(^.^)

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 反省会という名の打ち上げも済み、タクシーで帰る。助手席の後ろに『不況の中、頑張ってます』という紙がぶら下がっている。このタクシーの会社の客へのメッセージなんだろうか。そんなマイナスイメージの言葉をばらまかないで欲しいなー。

 窓の外にはどことなく元気のない夜の街。明日から僕もまたパソコンの便利屋さんだ。