2007年2月3日(土)

Fukiさん (超、再会)

 須崎の市街地への道に入ったところで電話をした。

 「お待たせしてすみません。今須崎の入り口のところまで来てますので、もう間もなくそちらに着くと思います。」

 須崎市多ノ郷のTさん。この方の設定日は最初は1月の終わり頃の予定だった。それがTさんのご都合で今日になる。設定依頼書が普通より長いこと手元にあって、その間ずっと抱いていた「もしや・・」の思い。

 Tさんの下の名前はFukiさんといって、結構珍しい名前だと思う。もしかしてこの方は30年も前の学生時代の後輩のあのFukiさんじゃあるまいか?あの子は確か高知出身でその方角は須崎方向じゃなかっただろうか?いつもニコニコしていて、フワッとした性格のよさそうな素敵な後輩だった。まともに話したのはほとんどないのだが、彼女の下宿の縁側で一度だけ会話らしい会話をしたことがある。それは、たった一度だけでも、学生時代のことを思い出すときには時々浮かんでくるひとつのシーンになっている。先月の設定仲間での新年会の時にも僕は冗談のようにその話をした。

 今度須崎で設定に行く人の名前が僕が学生時代にかわいいなぁと思っていた人と同じ名前なんだけど、それがこの人だったらスゴイと思わん?(^.^)

 昨日事前連絡をして、Tさんがしっかりした話し方の同年輩か少し上の人のように感じ、その「もしや・・」は消え去った。今はただ約束の5時を超えていて一刻も早くTさん宅に辿りつくことだけ考えている。

 5時半過ぎ、Tさん宅へ。車を止めて玄関先に歩いて行く途中で携帯が鳴り、玄関先でしばしその相手と話をするという中途半端な格好になった。そして、その声が聞こえたのだろう、家の中から若い女性が玄関を開けて出て来た。

 「ごめんなさい、玄関先で携帯で話してたりして。インターネットの設定の宮城です。」

 「いいえ(^.^)」

 電話を終えてあいさつする僕に彼女は軽く笑って答え、家の中へと案内してくれた。

 僕がきのうの電話の声から頭の中に描いていたTさんよりずっと若い。お嬢さんかな。

 でも、彼女が案内してくれた2階の部屋にはどなたもいなくて、どこか学生さんの部屋のような雰囲気がある。

 そうか、この方がTさん本人で、この部屋がTさんの部屋なんだ。

 「ン?」・・・

 その部屋の学生さんのような雰囲気から例のFukiさんのことが蘇った。

 そのお嬢さん(?)の顔をしっかり見ると・・・アレレ、似ているじゃないか。そうであるような、ないような・・。

 「もしかしてTさん、高知大に行ってました?」

 「ええ・・。」

 「演劇部にいましたよね?」

 「はい・・。もしかして、私の同級生とか・・・?」

 なんと、TさんはFukiさんだったんだなぁ・・・。

 僕が知ってる時は彼女はもっとふくよかな感じで、再会するとしても僕の予想では「その延長線の年相応」というものだった。実際の今のFukiさんは細くなって、あまり年を取っていなかった。部屋が学生っぽく見えたのは、Fukiさんが今はとある高校の先生をしていて、学習書のたぐいが部屋に沢山並んでいたから。

 話してると表情や話し方にあの頃の雰囲気がしっかり残っていて、フワッとした感じもある。

 まぁまぁ、この仕事を始めて、いろんな出会いや再会があったものだが、今回のこれは再会の最長記録だ。

 彼女はこの設定を自分でやろうかとも思ったのだが、NTTから設定の人間を寄こしてくれるのなら・・という半分半分くらいの気持ちで依頼したらしい。それが僕につながって・・・。

 Fukiさんは最初はなかなか僕のことを思い出せなかったみたいだけど、話すにつれ、記憶が「おぼろ」くらいにはなってくれた。

 僕はバリバリにこの偶然に感激してるんだけど・・(^_^;)

 あれから30年経っての再会なので、今度会うのは又30年くらいしてからだろうか?

 それはあまりにも淋しいので、メールくらいは出来るようにして来た(^.^)

 いい日だった。