2007年9月12日(火)
午後2時、今日の訪問は先週土曜日の日記に書いたU田さん。
日曜日のヒカリの回線工事と接続設定は無事に済んでいたので、まずは前回アバウトに配線しておいたLANケーブルをきれいに始末。
それからパソコンを前に電源の入れ方から・・・
U田さんのインターネット開通とパソコンの動機は「この年まで生きて、世間で騒がれているパソコンやインターネットを知らないでいるのはもったいない。」というもの。今日もう少し突っ込んで聞いてみたら、U田さんは大正13年生まれとのこと。
「どんなものか見てみたいという気持ちで、デモンストレーションでいいんです。」
「今さら本を読んで扱い方を覚えようと思っているわけではないんです。」
これが、電話で初めて話した時、前回パソコンをお届けした時、そして今日とU田さんが一貫しておっしゃっていること。ワードやエクセルで何をかにをというより、インターネットでいろんな情報を見るというのが一番役に立つだろうと考え、今日はインターネットでいろいろと調べてそこから情報を得るという様子を見てもらった。
「デモンストレーションでいいんです。」といいながら、前回もそうだったようにU田さんの質問は的を得てしかも鋭い。
ある語彙で検索をかけて何万件とページがヒットすると、その何万件の最後の1件のページを見るには?・・など予想もしない質問が。おぉ、そういう発想もあるんだ。今まで僕は思いもしなかった。
U田さんはご旅行が好きなようで、今興味をお持ちの中国地方のある山のことを調べたりで時間はあっという間に過ぎる。
ネット上でいろいろなことを調べることが出来るようすを見たU田さんの感想は・・・
「これは、便利ですねえ。このページを全部見ようと思ったらいくら時間があっても足りませんねえ。」
「でも、これだけ何でも出来たら人と会わなくても暮らせて、却って人間がゆがむかも知れませんねぇ。みんな仮想上のことになって・・・」
まぁ、たった一回のデモでU田さんは世間で言われているパソコンやネットの問題点を一度で言い当てた。
パソコンじゃ、そこに吹いている風や匂いや暑い寒いは伝わらない。パソコンもインターネットも人が何かをするための道具として節度ある使い方をすればとてもいいものなのだが、その世界に入り込んで人との接触や他の行動をしなくなったら、考え方、感じ方も自分の都合がいいように偏ってしまう。なにしろ、目の前のパソコンはネットでどこへでも行ける上に、こちらの行動にとやかく口をはさまないのだから。
U田さんは自らの文明の利器との付き合いの歴史を話して下さった。
友達が作ってくれた鉱石ラジオで聞こえるか聞こえないかのラジオ放送を必死で聴いていた時代。
エジソンが発明した筒のようなレコードから蓄音機に変わり、それから電気で動くレコードプレーヤー。そんなことを通してオーディオに凝ったこと。
「そんなことから始まったのが、今じゃこんなところまで来ているんですからねぇ・・・」
僕はテレビが始めて世の中に出現した頃やトランジスタの出現、コンピュータの出現など、今の便利な世の中の始まりを見れてるだけ若い世代より得してると思っていたけど、U田さんの80年を越す人生は正にそういう時代の生き証人といった感じ。そして、そういうことをちゃんと言葉で伝えることが出来る人がこんな身近にいるということはそれだけで価値がある。U田さんは個人的な感慨として話しておられるのだが、これは社会的にも価値のあることのように思う。
U田さんのところにはこれからも1週間か10日に一度くらいお伺いすることになった。パソコンのことを教えるという形の中で、僕は逆にいろいろな話を聞けるんだろうと思う。