2008年5月16日(金)

二本立て

 比島のH瀬さんは、数日前に「竹内さんからの紹介で・・」ということでお電話を下さった。竹内さんはソフト開発方向の仕事で追われていて、4月にも何人も自分のお客様を僕に紹介してくれた。ありがたいこと。

 で、H瀬さんのご用件は、新しく買ったVISTA機と前から使っていたMe機両方でプリンターが使えるようにということと、Meの方に入っている今までのデータをVISTAに移すこと、そして、ちょっと様子の変わったWordやExcelの使い方を軽く確認したいということだった。

 プリンターは今はVISTA機につながっているのだが、パソコンを購入したお店の人はUSBをつなぎかえることでどちらも使えるようにはしていたが、VISTAにつないだままMeの方から印刷する、つまり「プリンタの共有」の方は設定していなかった。これだって使い方をそれに合わせればいいことなのだが、おそらく説明が足りなかったんだろうと思う。僕は追加的にプリンタの共有を設定し、今のままの状態で印刷する時はVISTAの方も起動しているように、USBをつなぎかえる場合にはVISTAは電源が入ってなくてもいいから、今度は印刷する時にプリンタを選びなおすということをしっかり説明させて頂いた。

 データの移行時にも今やっていることがどういうことかを説明しながらやり、その他、Word、Excelの時もそう。

 その間、H瀬さんはあとで聞き漏らしがないようにと心がけて、ご夫婦揃って話を聞いて下さる。その協力し合う仲のいい感じがさらに僕の説明の細かさを呼んだのかも知れない。こういう空気は気持ちが温かくなっていい。

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 毎週金曜日のU田さんのところでは、パソコンのことが終わったあと、今日は映画二本立てだった。

 ひとつは映画にまだ音が付いてなかった時代の活弁ものの「滝の白糸」。その時代の映画というとさすがに話にならないようにうすうす思っていたのだが、それがどうしてどうして充分に面白かった。白黒のかすれたような映像は時代を表していて逆に希少価値のあるものを見ている気持ちになれるし、映像全てにその音が付いてはいないが、それを活弁士の話が盛り立てる。そして、何よりもずっと昔の話だからといっても、話の内容は見る人の気持ちを裏切らない心の行き届いた筋書きだった。

 滝の白糸・・、この話は歌謡舞踊の舞台仕事に付いた時に時折この演目を踊る人がいて、話の概要だけは聞いたことがあった。でも、そのあらすじだけでは、自分が身を立てるのに影で支えてくれた女性がそれ故にあやまって殺人者になってしまったのを有罪にと仕向ける検事が身勝手な人間のように感じていたのだが、実はそうじゃない。主人公二人の苦悩と信頼関係というものがくどくない流れの中でしかと伝わって来て、これはやはり名作に違いない。そして、その内容を知っている人が踊りの会などで自分が踊る演目として今も選んでいるということがあるらしいんだな。明日から二日間、日本舞踊の舞台に入るが、今日のこれはいいタイミングだった。

 そして、もう1本の映画は「シェルヴールの雨傘」。この映画に関してはテーマ音楽だけが僕の中にしっかり定着していて、映画は全く見たことがないというとてもアンバランスなものだった。僕が高校生の頃は、映画音楽そのものが流行りだった時があり、映画は見てないけど、音楽はとてもよく知っているというものが結構ある。とくに「シェルヴールの雨傘」は映画の音とは別に、その頃人気のあったライザ・ミネリが英語の歌詞で熱唱している音がラジオで頻繁に流れていた。

♪ If it takes forever, I will waite for you.

  For a thousand year, I will waite for you ♪

 この歌いだしの当たりは今でも時々口ずさんでいたりする。この名曲なのに、映画そのものはナントカロードショーなどでも放映されないのだ。

 今日、映画を見てわけが分かったような気がした。この映画は全てのセリフ、ほんとになにからなにまで、全てのセリフが歌になっている。これはミュージカルとは又違うし、当然挿入歌なんてものとはほど遠いし、お茶の間に流す吹き替えものの洋画には到底なりがたい。絶対、元のままで見ないとこっけいになる映画なのだ。

 U田さんは「ちょっとこれも少しだけ見てみませんか?いいところで言ってくれたら止めますから・・」と言って見せて下さったのだが、僕は最後の最後まで「今日はここまで」と区切ることが出来ず最後まで見てしまった。

 話の展開としては、こうあって欲しくないと思うような若い男女の恋の行方話だが、役者の魅力や音楽の力や、最後の方の主人公たちの過去の受け入れ方の大人な感じで作品に価値がつくという、これも名作なんだろうと思う。

 最近の映画自体あまり見ていないので、まだまだ何とも言えないが、どうも昔の名作と言われるものはくどくなくて、過度な感情の爆発をさせず、ぐっと抑えたところに深みがあるような気がする。作品と同じで、その時代を生きていた人たちにもそういう抑えがあったのだとすると、古いから浅いとかいうことは点で話にならないことになる。

 こうなると、最近の映画も見てみたくなるな・・(^_^;)