2008年6月6日(金)
金曜日はいつものU田さん。パソコンのことをある程度やった後での映画タイム。
「私が何度も見たようなものはもうそういくつも無くなって来てますよ。何か見たいものがありますか?」
「『無法松の一生』はどうでしょう?」
「あれは戦前と戦後に同じ監督が作り直したものがあるから、長くなりますよ。両方見て比べてみたらいいと思いますから・・。」
そうか、それじゃあ今日は止めといた方がいい。明日は朝からの1日仕事があって、今日は1本だけにしておきたいのだ。
「じゃあ、『歌ふ狸御殿』は・・」
「よく覚えていましたね。でもこのビデオはテープが巻き取れなくなっていて見れないかも知れません。」
U田さんはそのビデオを持って来てテープがギチギチになって動かない様子を見せて下さった。
「こういうの直すの僕得意技ですよ。やってみましょうか?」
ビデオテープのケースをばらすと、テープは切れてないが、巻き取り部分が斜めになってテープが詰め詰めの状態。ひどいところは茶色い磁性体が剥がれて透明なビニールテープみたいになっている。でも、巻き取り部分を真っ直ぐに直して、ビデオデッキで巻き戻すとビデオテープは再生できるようになった。どこでいつまた巻き込んだり切れたりして見れなくなるか分からないが、ビデオが再生され始めたらそのまま映画の世界へ。幸い、おかしくなったのは映画が済んだ後の部分で、『歌ふ狸御殿』は全て見ることが出来た。
感想は・・・
これはいい!!狸の話を借りての自由な発想の喜歌劇。とても気の利いたユーモアがさりげなくちりばめられている。
カチカチ山の狸の一族とぶんぶく茶釜の狸の一族がライバル関係だったり、シンデレラのような話の展開だったり。
カッパや木蓮の精が出て来る森のシーンはまるでディズニー映画の森のシーンを思わせる。
その時代のきれいな女優さんをふんだんに使って、これでもかこれでもかとその美しさを次々と見せ付けるやり方も贅沢な遊び心。
狸御殿の階段は一段ずつドレミの音が鳴って、御殿の若殿と主人公の「おくろ」のやり取りで二人が上ったり下りたりすると、それが「さくらさくら」の演奏になったり。こういう遊びのあるのって好きなんだよなぁ。
これが戦時中、日本が戦争に負けかけの頃に作られた映画だというのだからそれも又すごいこと。
後の映画や舞台ごとにも影響を与えてるんじゃないかと思う。
もしかしたら、スタジオジブリの「平成ポンポコ・・」とか、TVの「さんま御殿」とかいうものもこの映画があってこその話やタイトルなのかも知れない。
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科学技術の分野では、昔からの技術に新しい時代の検証を重ねていくので、新しいものに比べると古いものが稚拙・・というようなことがあるが、笑いとか情感など人の心に関することは昔も今も違いはないんだろうなぁ・・。せかせかしていない分、昔の方がよほど余裕があったのかも知れないと思ってしまう。
一度も見ていない時には、自分にとって存在感のなかったものが、こうして見て、そして驚いたり感動したりすると、圧倒的な存在になる。U田さんのところではこのところそういう体験ばかりだ。
「ビデオテープのおかしいのはある程度直せますから、遠慮なく言ってくれたらいいですよ。」
「ええ、私もまさかこれを又こうして見れるとは思いもしませんでしたよ。『狸御殿』は20年ぶりぐらいに見たでしょうかねぇ。単なる娯楽映画だと思ってましたけど、こうして見てみるとこれはこれで、いろいろ伝わるものがある映画でしたねぇ。」
全くその通りだ!!家で「狸御殿」というキーワードでネット検索してみたら、やはりこの映画は定評のあるものだったらしい。二作目三作目とあるみたいだし、つい最近も今のスターたちの出演で作られたようだ。そういうのみんな見たくなっている。
知らない内はホントになんにも知らないものなのに・・・
この出会いというのが不思議だ。
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