2008年11月15日(土)

熱湯は熱い!

 「僕のやけどの結果はどうだった?」と僕。

 「リハより煙がモワッと出て良かったよ。」とカラタチさん。

 それならいいんだ・・。

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 グリーンホール、内山時江モダンバレエ研究所の発表会。舞台監督、曾我、美術、カラタチ工房、道具要員、宮城。

 3部は浦島物語をバレエにアレンジしたものだった。

 カラタチの北川氏がつくった玉手箱は熱湯を入れた缶の蓋の位置にドライアイスを入れた籠をぶら下げ、浦島太郎役のダンサーが仕掛けのひもを引き抜くとその籠が熱湯の中に落ちて玉手箱の煙がモワモワッと出るいうもの。

 リハではドライアイスの大きな塊りを籠に乗せたところ煙の出が大人しかったので、本番では僕はドライアイスを小さいかけらにして籠に乗せた。

 玉手箱は一度舞台上で乙姫さまから浦島太郎に渡されその段階ではドライアイスの仕掛けはない。その玉手箱が袖裏に来て、それから仕掛けした状態で浦島の手で舞台上に出て行くまでに1分30秒くらいの時間。その間に準備したものを仕掛けないといけない。

 ところが・・・

 その仕掛けをしている時にドライアイスのかけらがひとつ熱湯の中に落ち、いきなり煙が出だした。

 アイヤーッ!!

 落ち着こう。

 右手に軍手をはめ、息を整え、意を決して熱湯の中に手を入れてドライアイスをすくいだそうとした。

 しかし、ドライアイスは手先に感じられない。ほんの2〜3秒の内に・・・

 アヂッ!

 湯の中に落ちたドライアイスを取り出すのはあきらめた。

 じゃあ、玉手箱のふたをしっかり閉めて煙がもれないようにしよう。

 そこで、浦島太郎が玉手箱を持って舞台に出て行くタイミングになった。

 どうだ?

 煙は出ていない。

 ヨシッ!これで自分の手の心配をしてもいい。

 すぐにその場を離れ水道があるところに行って手を冷やす。手のひらの方はなんともないが、手の甲の方はヒリヒリヒリヒリ痛い。

 これって後になって水ぶくれとか、すごいことになるのかなぁ。でも、咄嗟の時のやけどはすぐに治るというし・・

 袖に戻って煙の出具合がどうだったかカラタチさんに聞くと、予定外に落ちたドライの煙は出なかったし、予定の煙はいい感じに沢山出たとのこと。

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 その後の作業では、右手をかばうように軍手をはめたままやっていたのだが、ある時をきっかけにヒリヒリと痛かった手の甲が温かくなって痛みがジュワーと無くなって行くのが分かった。

 アッ!!今、回復している。

 人間の体ってすごいんだなぁ。

 おかげで、僕の右手はなにもなかったように、やけどのかけらさえ残らなかった。

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 僕は、熱いとか、寒いとか、重いとか、そういう仕事はしないとよく冗談に言う。まるで怠け者の発言なのだが、それは自分がこういう時にこんな無茶をやってしまう傾向があることを知っているが故のバランス感覚に基づいているらしい。

 まぁ、ミヤギ君の冗談って深いのネェ・・・