2010年2月16日(火)

じいちゃん、快方へ

 今日は1週間ぶりに訪問なしの日。今日こそはじいちゃんの見舞いに行かなくちゃ。

 ICUに入った最初は、心臓以外は全く機能していない「多臓器不全」と診断された。何をやっても効果が無く、心拍、血圧、血中酸素などの測定器とそれぞれが悪化した時にそれを改善するための薬液が点滴の袋につながり、自発呼吸も出来ず人工呼吸器を使い、薬と機械でただ生きているというような状態だった。

 じいちゃんの家族はそれぞれの身内を呼んで、1日に二度、1回につき30分の限られた面接時間を使ってじいちゃんに会わせた。

 「会う」といってもじいちゃんは意識がない。家族を会わせるのは、みんなが「良くなるんだよ」という気持ちをじいちゃんに届けると同時に、「じいちゃんが生きているうちに会っておきなさい」という思いもあったように思う。

 それが先々週の金曜、土曜の話。

 日曜に様子が変わった。月曜、火曜、水曜と少しずつ、少しずついい方向にことが進んだ。

 点滴の袋につながれた注射器の数が減り、眠らせるための薬も与えられなくなり・・

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 今日行ってみると、注射器は1本になっていた。自発呼吸も数値が増えて来て、近々人工呼吸器も外せるようだ。

 意識はあるが今は人工呼吸器の管が気管まで挿されていて声を出せない。

 痛々しいけど、よかった。

 「良かったね。」

 声をかけたが、「良かった」のは死ななかったのが良かっただけで、こんな状況になったことそのものは良いことじゃない。気の強いじいちゃんとしてはこれほど弱ったこところをみんなに見られて、やさしくされて、居心地悪いかも知れない。「良かった」の言葉はまずかったかナ・・。

 でも、良かった。

 「やっぱり不死身やったネ。」

 何か話そうとしているが会話にならない。

 でも、これもあと数日のことだ。