2010年5月21日(金)
おとといだったかな、NHKの衛星映画劇場で『TOKKO-特攻』というタイトルの映画を流していて、パソコンに録画したものの切り張り編集をしていて思った。
これはU田さんと見るべき映画だ。
日系の二世の女性が監督兼インタビューワーの形を取ったドキュメンタリー映画。
TOKKOを現代のテロと同じように思っていた彼女が、とても元テロリストという風には見えなかった日本のおだやかな性格の叔父が実はTOKKOの生き残りだったことを知ったことから、何人かのTOKKOの生き残りの人たちに会いインタビューをしながら、その当時の特攻隊員たちの心情や特攻が行われた背景を聞き知っていくという映画。
「戦争というものは略奪や敵国の民間人を殺しても平気でいるような人間の残忍性を表面化するのと同時に、一方では、国のためにと今から死にに行くのに笑顔で飛び立って行く特攻隊の人たちのような無心の行為を見せたり、人間の両極端の有り様を見せるものなんですヨ。あの特攻隊の人たちは本当のところはどんな気持ちだったんでしょうねぇ。」
U田さんとのお付き合いが始まってからもう二度の夏が過ぎたが、終戦記念日が近づくたびに話題が戦争のことになり、特攻隊のことについても随分とネット検索したり、映画タイムにそういう映画を見たりもした。
その映像には、今から特攻突撃に飛び立つという時に笑顔を見せている特攻隊員たちの映像がいくつも出て来る。
その様子を見せて日本国民の規範とし、覚悟を決めさせようとしたニュース映像が残ったものだから、その時の特攻隊員の本音はどう・・というような部分は具間見えない。ただ、歴史的事実としての実映像が残っているだけなのだ。
後になって、特攻の生き残りの人や、特攻隊を見送った人たちの視点での本や、テレビの特別番組などがあるわけだが、それでも「その時の特攻隊員たちの心情は・・」というのはどこか謎のまま残る。おそらく、自分がそれを経験していない、そして、もしそれが自分だったらと考えた時に想像が付かないというのがその理由なのだろう。
この映画は、覚悟を決めて実際に特攻に飛び立った上で、エンジントラブルや敵機との激戦の結果特攻が出来なかった人の証言があり、特攻隊員の本音というものに随分と迫っている。
それでも、どこか、想像出来ない・・、本当のところが分からない・・という気持ちが残る。
複雑な余韻で決して気持ちがいいものではない。面白がるでもなく、知っているという安心感でもなく、逆に知りたくないとさえ思うけど、それでもこういうことがあったということは知っておかないといけないように感じる。