2010年7月 5日(月)

余韻の残る最終日

 今日は短大の授業最後の日。今回はかなりの手ごたえありの終わり方になった。

 僕の場合、「教える」という上からの感じじゃなくて「教えさせてもらってる」のだが、それに生徒が応えてくれるとかなりの成果が出て来るというのが、今回はよく分かった。

 やってることは「発表に使うためのパワーポイントのスライドつくり」。

 スライドの中が文字だらけになって聞く側が発表者の声を聞かずに先読みしたりしないように、簡単な箇条書きにして細かいことは口で伝えるんだヨ。一番いいのは、聞いてる側の神経がスライドと発表者の説明の両方に行くことなんだ。そのためには「ノート」も活用しようね。

 こういうことは去年までも言い続けていたことだが、どういうわけか文字だけの「読ませる」スライドを作る子が沢山。

 医療の現場で実際に使われたスライドやこれまでの先輩が作ったスライドを例として見せるということもこれまでもやって来たことだが、今年は、このスライドのこういう点はとてもよくて、こういう点はちょっと残念だね・・なんて説明を念入りにやり、作業中にはスライド作りの際に気をつけて欲しいことをスクリーンに大写しで表示したままにして・・。

 途中経過を集めて全員のスライドを見て、共通する傾向をまとめて説明し、その上で個別に話したのも良かった。そこから進行度に心配のある生徒たちの作業が目に見えて先に進んだ。

 技術的な質問に次々答えられたのも良かったんだと思う。後になるほど質問の量が多くなって、90分の授業はあっという間に済んでしまう。

 「何がなんでも最後の授業の日に提出しようね」という僕の言葉に、人数が多い故にひとつのクラスを二回に分けてやる授業の両方に出席する生徒が出て来たり、授業以外の時間を使ったり早めに出て来て授業前から作業に取り掛かった子もいた。

 そうなると僕も更に熱が入る。よく褒め、よく指摘して・・

 そして、最終日の今日、「化けた」子が何人もいたのが嬉しかった。

 スライド作りの経験がある子やパソコン慣れしている子はもちろん安定したいいスライドを作る。しかし、途中経過を見る限りではそうは見えない、でも、最後までやればいいものになりそうだけど、どうなんだろう、そこまでやってくれるかなぁ・・・、という子がやってくれたんだよネー。しかもそういう子のスライドには勢いというか・・、しっかりと取り組んだハートが伝わってくるのだ。これは感動もの。

 授業の終わりにお別れの挨拶をして、生徒たちが出て行く時に、又数人と言葉を交わす。

 「先生、ありがとうございました。」

 「こちらこそありがとうございます。よく化けてくれたねぇ。」

 「先生が言ってた本、読んでみます。」

 「うん、是非呼んでみて。僕の宝みたいな本だから。」

 スライドの作り方のちょっとした会話の中で、結構実のある会話もしている。

 プレゼンの話をして「授業もひとつのプレゼンだし、プレゼンは会話だからね」なんて僕も口にしたりするが、その分かっているはずのことを改めて発見したような気持ち。

 この余韻は長いこと続きそうだ。