2010年7月 7日(水)
「帰って来るたびにお呼び立てしてすみませんねぇ。」とおっしゃるのは土佐市のN岡さん・・・
のお兄さん。
N岡さんのお兄さんは日本国内運航のタンカーの船長をされていて、船を下りて故郷の土佐清水に帰る前には土佐市の妹さんのお宅に寄って、それから実家へと帰られる。妹のN岡さんは僕と同年代で、お兄さんはそこから5つ6つ上だろうか、このご兄弟はいくつになっても仲のいいご兄弟。そんなこともあって、何年か前にお兄さんが出来るかどうかわからないから取り敢えず安い中古のパソコンをどこかで買えないものかと探しておられる時に、僕のお得意様のN岡さんが僕に声をかけて下さった。
そのN岡さんが昨日電話を下さった。
「兄が船を下りて私の家に来ているんですけど、パソコンがうまく行かなくて、もしおかまいなければ明日にでも来てもらえないでしょうか?」
話の感じからするとパソコンが起動しないというような不具合のように聞こえたのだが、行ってみると他の方が作ってお兄さんに渡してくれた、マクロを利用した船の運航計画を作成するエクセルファイルが思ったような結果を出してくれないという問題だった。
アーレー、人様が作ったこういうものの不具合を僕がなんとか出来るんだろうか?
「前はちゃんと使えていたんですけどねぇ。いろいろつついている内におかしくなってしまって・・」
とに角見てみると、これ、船の運航計画というものがどういうものか分かっていないと作りが読めない。
でも、お兄さんは僕の質問に対してとても分かりやすく説明して下さって、触っている内に消えたり変わってしまった計算式の理屈的な不具合を見つけては直すということを繰り返す内に運航計画や運航の決まりごとなどが具体的に頭に浮かびだした。
あちこちの港の名前や、港から港の距離と船の速度と運行時間、錨で船を止めるのか、着岸するのか。難しい航路では船長自ら指揮を取る。僕の頭の中にタンカーや港の様子が浮かんで来た。あぁ、N岡さんのお兄さんは自分の中に、僕が知らない港の風景や海の上の風や雲や空や星、そんなものを一杯持っておられるんだ。それが、地を這うように高知からほとんど出ずに仕事をしている僕とこうしてパソコンを介して同じ場所にいるというのも不思議な縁。
こういう文科系の発想が出て来る時は難しそうなこともうまく行く。
作業が済んだ時にお兄さんはおっしゃった。
「帰って来るたびにお呼び立てしてすみませんねぇ。」
イエイエ、これが僕の仕事なのだから呼んで下さる方が有り難い。
そういえば昨日のH協会の事務局長のSさんも事務のOさんに言ってたっけ。
「そうそう宮城さんを呼ぶわけにも行かないから、分からないことは今の内に聞いておきなさいヨ。」
それはミヤギを呼びたくないというという意味ではなく、手間を取らせてはいけないからという思いやりだったのは確かなこと。
「そんなこと言わずにどんどん呼んで下さい。」
あわてて言った僕の様子を事務員のOさんが笑っていた。
トラブル系は気の毒だから無い方がいいけど、そういう気遣いのあるお客様とはやはり時々お会いしていたい。
「災い転じて福となす」ことも出来るわけで、トラブル系でも前向き系でも、みなさん遠慮しないで下さいネー(^.^) m(__)m