2011年11月23日(水)

ナイチンゲール

 今日は内山時江モダンバレエ研究所の発表会本番の日。

 ところで「発表会」という表現でいいんだろうか?内山先生のところのステージはしっかりエンターテインメントしてて、なにかの文化教室の発表会というような感じじゃないんだよねー。一部二部三部と三部構成で、何かを表現しようとしているし、何かを伝えようとしている。

 そして、生徒さんの数の問題で、中堅からベテラン域のバレリーナ達は何役もこなし、出番がやたらと多い。着替えが間に合うか・・というような場面もいくつか。

 それを健気にこなすんだよねー。

 三部のヒロイン、ナイティンゲール役のK下さんは優雅に踊っていた舞台から袖に入って来ると、今にも倒れそうなくらい過呼吸の様相を呈し座り込んでしまう。それを見た研究所のお世話役のおばさんが、彼女の肩や背中をもみほぐしながら励ましの言葉をかけ、出番が来るとK下さんはそれまでの様子が信じられない優雅さで舞台に出て行く。

 そして又袖に入って来ると今にも倒れそう。

 たかが大道具の一要員の僕が何か言うのも失礼だと思って最初は出過ぎないようにしていたが、その健気な様子に、見て見ぬふりも出来なくて、僕の仕事のカンペであるパンフレットをうちわがわりに風を送りながら、「もう少しだからね」と言うと、彼女はパッと明るい表情をして「ありがとうございます」と言った。

 アチャー、気を使わせてしまった(=_=) 普段接触の無い人間から励まされたら無理して大丈夫な顏するよなぁ。でも、その表情のなんと明るくて素敵だったことか。

 そして、また彼女は優雅な姿で舞台へと。アーチストなんだネー。

 舞台は無事終了。

 客席から見ている人は、袖裏の彼女たちのこういう場面は想像できないだろうなぁ。

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 舞台を終えて歩いて来るK下さんに僕は聞いた。

 「ところで、ナイチンゲールの鳴き声ってどんな鳴き声なの?」

 「エー!? 分からないですー。」

 困り顔20%笑顔80%の彼女は舞台を終えた達成感と解放感ですっかり年齢どおりの若いお嬢さんに戻っていた。