2012年1月 6日(金)
「今回の正月は何十年ぶりに家で迎えたことになりますよ。」
毎週金曜日のU田さんは、毎年、大晦日から正月は旅行先で迎えていらした。今ではそういう人も増えたようだが、U田さんは「正月はあちこち行かないで家で迎えるもの」という風潮の頃からそれをやっておられる。でも、今回はいつも同行される10歳年上のお姉さんの都合で、家で正月を迎えられた。先生は87歳、お姉さんはその10上ということになる。
「速いもんですねぇ。もう、今日が何日か、今日が何曜日かということが必要無い生活だから日付も曜日も分からないんですけど、正月はやって来るし、こればかりはみんなに公平にやって来るようで、年は取りたく無いですよ。人は年齢で老いるのではなく、希望を失くした時に老いると言いますけど、まさか自分にもそういう時が来るとは思いませんでした。」
といいながら、僕が来る金曜日の1時には生活空間である2階から1階の玄関まで下りて来て待っていて下さるU田さん。言葉どおりならそれは無い筈なんだけど・・(^_^;)
「毎年、正月には日記と『ステレオサウンド』を買うんですけど、今年はどうやって買ったものやら。」
なんだ、日記もつければ、オーディオへの興味も捨てて無いし、言葉とやってることが違うじゃないか。先生は少しセンチメンタルな気分を楽しむ(?)傾向があるから、それなのかも知れない。
「それだったら今から僕が先生を本屋さんまでお連れしますよ。」
『ステレオサウンド』が金高堂にあるかどうか、先生がご自分で電話をかけて確かめ、あったので取り置きしてもらって、僕の車で帯屋町へ。
「まぁ、ここに来るのも何年振りやろう。」
この前床屋に行った時もそう感じたことだが、たまにはこうやってパソコン以外のことで先生と外に出るのもいいものだ。
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映画タイム。
今日は二度目の「清く貧しく美しく」の映画鑑賞。
「これは見事な名作だと思いますヨ。」とボク。
「そうですか、そうだとすると私はやっぱりボケたんですねぇ。あまり感動しませんでしたよ。」
「というより、好みの映画じゃないってことじゃないです?」
「そうですねぇ、私はこのタイプの映画はあまり何も感じませんねぇ。『野菊の如き・・』とか2つ3つ好きな映画があるんですけど・・。」
「先生は切ない感じが残る映画がお好きですよね。」
「えぇ、そうですねぇ。」
おっと、これもボケたんじゃなくて、理由はちゃんとあるわけだ。
決まり!先生はセンチメンタルが好きなのだ。