2021年12月28日(火)

天国からの贈り物

 ILSさんにいる時間帯に亡き仕事仲間T内さんの奥さんが僕に預けていたUSBを取りに来てくれた。

 このUSBはT内さんの仕事仲間の方からのもので、パソコンに挿すと「フォーマットしないと使えない」というエラーが出て先へ進めない。大きなパソコンショップに持って行ってもうまく行かず、これ以上はデータ復旧の専門業者に頼んで価格は10万くらいかかるという対応で、T内さんが僕に見てくれないかと持って来てくれたもの。

 僕は僕なりに、僕としては高いお金をかけて用意したデータ復旧用のソフトを持っているのでフォーマットしないままで復旧できないか試すが、パソコンがUSBの基礎部分しか認識しないので4GBのものが今は8MBで表示され、もちろんそこにはデータはない。データ復旧ソフトは「誤ってフォーマットした場合でも復旧できる」ということなので自分のUSBならフォーマットしてやってみるが、普通はフォーマットしたら中身が真っ新になるのでこういう時には絶対しないこと。お会いしたこともないお客様のものなのでこれは一度確認した方がいい。

 数日前にT内さんに電話した。

 「普通はフォーマットは一番避けることなんだけど、今はコレコレコウイウ状態でフォーマットした上で復旧ソフトで中身をスキャンすれば救出出来る可能性はあるんだけどねぇ。万が一の場合、データ復旧出来ない上で手元には真っ新になったUSBが残ることになるので、それを了解してもらえるか聞いておきたいんよ。背中をもう一押ししてもらえれば先に進めるんだけど・・・」

 「分かった。月曜日に聞いてみる。」

 その結果、お客様はもしかしたらパソコンのどこかにあるかも知れないからもうひと頑張り探して見るということでT内さんは今日取りに来てくれることになった。

 「で、検査代とかお金はいくらになります?」

 「いやあ、いらんいらん。」

 「もう!そう言うて思うた。」

 亡きT内さんと僕はそういうところがとても似ていて、奥さんには読まれちゃってるのネー。

 T内さんは手に旦那さんが好きだったブランデーを持ってやって来た。

 「これ、匂いとか味とか、主人が好きだったブランデーなの。」

 ハイハイ、よくぞ僕なんかを相手にしてくれるというくらい優れもののT内さんが、ある日酔った感じで「アーリータイムスがねぇ。ドコソコで〇〇円で買えるヨ!!」というとても人間くさい電話をくれて、T内さんと言えばアーリータイムスと僕の中に刷り込まれていて、僕にとっても好きな酒になってるんだ。

 これは喜んで遠慮せず頂いた。

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 数日前にとあるバレエ教室のI先さんから電話。

 「先日のホームページでの教室閉鎖のお知らせの請求書をくれますか?それと1月一杯でホームページも整理したいのでそれも含めて・・」

 「いや、この件でお金を頂く気はないから。ホームページ業者としてだけのお付き合いならともかく、舞台にも関わっていて、よほど大量の更新ならともかく、先生が亡くなったことを聞いた時からそのつもりだったから。」

 「ご家族との話もあるので、じゃあ、また話してみます。また電話するから・・」

 「僕が『そうさせて下さい』って言ってるって伝えてくれたら・・」

 その結果を今日電話して来てくれた。

 ご家族は、「それは感動的な美しい話ですネ」と僕の気持ちを受け止めてくださったそうな。

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 T内さんは奥さんを通してアーリータイムスを、U山先生はご家族を通して僕の気持ちを受け止めてくださった。